俺は、審神者会議のついでに休暇を取り、近侍である蜂須賀を連れてリゾートホテルへとやってきていた。キープしたのは離れにあるスイートルームだ。大きなベッドにふかふかのソファ。バスルームにある湯船も、男二人で入れるぐらいの広さは十分にある。会議は午前中で解散になったから、あと一日半の間俺は蜂須賀とこの部屋に二人きりだった。
「お疲れさま」
蜂須賀がねぎらいの言葉を掛けてくれる。こういうところが蜂須賀の良い所だ。
一見すると高飛車で近寄りがたい印象を持つが、その実真逆。陰の努力家で、育ちの良さからくる鷹揚さと気品を兼ね備えている。根は優しく穏やかだが、少し頑固なところもある。だが、そんなところもまた可愛い。俺の自慢の初期刀であり、近侍であり、愛しい恋人だ。
「堅苦しい会議は何度経験しても慣れないな」
ネクタイを緩めながらソファに深く腰を掛けると、蜂須賀が「それも仕事だろう?」と困ったように笑った。
「蜂須賀」
ぽんぽんと膝を叩く。すると、蜂須賀は顔を赤らめて「恥ずかしい」と呟いた。
何度となく身体を重ねているが、いつまで経っても初心なところがどうしようもなく可愛い。頬にキスをしただけでも顔を真っ赤にして、着物の袖で顔を隠してしまうほどだ。
「いいから、早く」
なおも膝を叩いて催促すると、蜂須賀がおずおずと膝に腰を下ろした。
「よいしょ」
少し抱きなおして、しっかりと腰をホールドする。
「疲れた」
「うん、お疲れさま」
ぎゅっと蜂須賀を抱きしめると、優しく頭を撫でられる。
「あぁ、蜂須賀の匂いだ……」
「そんなに嗅がないでほしいな」
「癒される」
蜂須賀の匂いを堪能していると、蜂須賀が俺の額にキスをしてきた。自分からは滅多にキスなんてしてこないのに、と俺が驚いていると「会議、頑張ったから」と言い訳される。顔を真っ赤にして目を逸らすところがなんとも言えない。
「もっと」
首を傾げてキスを強請ると、蜂須賀が控えめに唇を合わせてきた。触れるだけのキスを繰り返す。何度も何度も唇を触れ合わせていると、徐々に蜂須賀の息が上がってきた。
「どうしたの?」
「な、なんでも、ない」
「んー?」
着物の裾をきゅっと掴んでいる蜂須賀の手に自分の手を絡める。
「あっ……」
親指で掌を擦ってやると蜂須賀の口から微かな声が漏れた。
「感じた?」
「感じて、ない」
「ホントに?」
「ん、ぅ……」
首筋を撫でてやればくすぐったそうに首を竦める。
「顔、赤いな」
「誰のせいだと……っ」
「俺のせいです」
笑いながら答えて蜂須賀の唇を塞ぐ。舌先で唇を擽ってやると、口を微かに開けておずおずと舌を覗かせる。その舌を掬うように口の中に迎え入れ、俺は蜂須賀の熱い口の中を存分に貪った。
甘い唾液を飲みこみ、歯列をなぞり、上顎のざらざらした部分を舌先で擦ってやる。その度に感じやすい蜂須賀は腰をびくびくさせて感じているようだった。
「――ぷ、ぁ……」
「いつまで経っても、キス、慣れないな。まだ恥ずかしい?」
「恥ずかしいに、決まってるだろ……」
蜂須賀が俺に抱き付いて、赤いのを隠すように首筋に顔を埋めてくる。
「ごめんごめん。意地悪しないから」
優しく背中をぽんぽんと叩いてやると、蜂須賀が俺の首筋に軽く歯を立ててきた。
「こら。我慢できなくなる」
「我慢、しなくていい」
「ひどくしちゃうかもしれないだろ」
「…………ひどくされても、いい」
俺は深く溜息を吐くと、蜂須賀を横抱きにしてベッドへと運んだ。
スプリングの利いたベッドに蜂須賀を降ろす。ベッドに蜂須賀の藤色の髪が広がる。
着物の袷から手を入れて、帯を解く。そのまま下へ行き、爪先にキスをしてから足袋に手を掛ける。
いつ見ても蜂須賀の体は美しかった。男にしてはキメが細かく色白の肌に、薄紅色の乳首や桃色の局部が可愛らしい。まだ皮を被ったままの蜂須賀自身は緩く兆していた。
「恥ずかしい――」
「可愛いよ」
俺も手早く服を脱ぎ、蜂須賀に覆いかぶさる。ベッドの上で互いを高めることはせず、しばらくじっと全裸で抱き合う。蜂須賀の冷たい体に俺の熱を移すようにしていると、徐々に蜂須賀の体の緊張が解れてきた。
蜂須賀の体は、人間である俺の体に比べて温度が低い。肌を重ねるとひんやりする。それというのも蜂須賀が刀剣男士で、人間ではないからだ。
「あったかい……」
夢うつつの調子で呟く蜂須賀の背中を優しく撫でる。蜂須賀はこうして俺に触られるのが好きだ。本人は刀だから仕方がないと言う。元が刀という道具である以上、人に触れられる・使われることが嬉しいし、それには抗えないらしい。
しばらく肌を合わせていると、蜂須賀のほうから俺に擦り寄ってくるようになる。まるで撫でるのを要求する猫のように擦り寄ってくるのだ。現に今も脚をもじもじさせながら俺の鎖骨の辺りに頭を擦り付けてきている。
「蜂須賀、シていい?」
耳元で囁くと、顔を赤くしながらも蜂須賀が肯く。
蜂須賀が肯いたのを確認してから、俺はその白い胸に浮かんでいる薄紅色の飾りに舌を這わせた。
「んぁっ、ん!」
少し舌先で舐めただけなのに蜂須賀の体が跳ね上がる。わざと音を立てて吸ってやれば、ひっきりなしに艶っぽい声を上げた。
「すごいな――もうこんなに硬くなってる」
「や、やめ、ひぅっ」
「なにが?」
「恥ずかしい……」
そのまま脇腹や腰にキスマークを付けながら、蜂須賀自身の先端にキスをした。すると蜂須賀のモノがピクリと震える。まだ皮を被ったままの先端を、剥くことなく口の中に含んで十分にねぶってやる。
「あぁっ、ぁ、ぁっ、や、やぁ……っ」
「どうして?」
「気持ちいぃから、んっ! 気持ちいぃ……」
半泣きになりながら蜂須賀が腰を浮かせる。
「自分で腰動かして、やらしいね」
蜂須賀の可愛いモノから口を離せば、つうと唾液が糸を引く。
「蜂須賀、見て? 蜂須賀の可愛いところ、俺がぺろぺろするところ」
快感による涙でぐしゃぐしゃになった蜂須賀に見せつけるように皮を剥く。露わになったピンクの先端にふぅっと息を吹きかけると、蜂須賀の尿道口がぱくぱくした。
「可愛い」
まずは咥えずに舌先だけで舐める。根元から敏感な先端、カリ、裏筋までまんべんなく。蜂須賀が腰を浮かせてもっともっとと強請ってくるが、決してそれには応えてやらない。
「あ、あ、気持ちいぃ、気持ち……いぃ」
「これは?」
先端だけを口に含んで、舌で舐めまわしながら吸ってやる。
「だめ! だめだ! それは、おかしくなる……!」
とぷとぷと溢れてくる先走りと一緒に喉の奥まで蜂須賀自身を呑みこむ。
「は、ぁ、あぁ!?」
何が起こっているのか解らないのだろう。腰を震わせながら喘ぐだけで精いっぱいのようだ。そんな蜂須賀に代わり、俺の方から頭を動かしてゆっくりねっとりしゃぶってやる。
「はぁー……はぁー……」
「我慢しなくていい。飲ませて、蜂須賀の」
先端に何度もキスをしていると、蜂須賀の先端からとぷりと白濁蜜が吐き出された。
他の刀剣男士はどうだかわからないが、蜂須賀の精は甘い。蜂蜜のようだ。俺はそれをじっくりと味わってから嚥下すると、蜂須賀の腰を抱え、後ろを解しにかかった。
蜂須賀の後孔は何度交合しても未通のようなキツさだった。指を一本入れただけでもきゅうきゅうと締め付けてくる。このキツい孔が俺のモノを咥え込んでいるのかと思うと、感慨深かった。
くぽくぽと指を抜き差ししていると、蜂須賀が俺の名前を呼んだ。
「どうした? 痛かった?」
「違う――俺もシたい……」
「え?」
「口で、シたい。
その、内緒で買った玩具で練習したんだ……でも初めてだから、気持ちよくなかったら、すまない」
身体を起こし、のそのそとシックスナインの体勢になる。そして、俺の股間に顔を近づけると、すっかりデカくなったそれに何度も唇を押し付けた。
「無理しなくていい」
「無理はしてない……ぁむ、ぅ」
先端だけを咥え込んで、んくんくと吸う。ぎこちない刺激だが、それもまた可愛い。決して上手いわけではないが、一生懸命に俺を気持ちよくしようとしているのがいじらしかった。
俺も蜂須賀の後ろに意識を集中する。ゆっくりと抜き差しするたびに、蜂須賀の口からくぐもった喘ぎ声が聞こえた。前立腺も思い切り擦ってやりたいが、今そんなことをしたら噛まれるかもしれない。いつも以上に慎重に、優しく蜂須賀の後ろを解す。
指を抜いた後、後孔がヒクヒクするまで存分に解すと、俺は蜂須賀の後孔に自分の先端を宛がい、ゆっくりと腰を進めた。
「は、っあ、あぁっ! あっ、入って、く、る」
「痛かったら言って?」
「だいじょう、ぶ」
全部を埋め込んだあと、しばらく息を整える。手を繋いで、キスをして、抱き合って、ゆっくりと蜂須賀の中が俺に慣れるのを待つ。
「もう、動いても……大丈夫」
「うん」
なるべくゆっくりとしたストロークで突いてやる、蜂須賀の良い所がよくわかる。先端がそのポイントを掠めた瞬間の反応がすごいのだ。
「すご、ぃ……おっきぃ……」
「気持ちいいの、ここ?」
前立腺と思しきところを捏ねてやれば、涙を流しながら嬌声を漏らす。
「もっと、もっと……」
ぎゅっと俺に抱き付きながら、控えめな声で強請る蜂須賀に胸がきゅっとなる。
「もっと、何?」
「もっと、欲しい」
言われた通りにぐっと強く腰を打ち付けた瞬間だった。
「あぁっ!!」
蜂須賀の口から聞いたことの無い声が聞こえた。
「え?」
もう一度腰を打ち付ける。
「やぁ! なに、なにこれ……? 奥から、クる!」
「気持ちいいの?」
「良い……良いよ……おかしくなる」
なるべく蜂須賀の呼吸に合わせるように腰を打ち付けてやる。すると、蜂須賀のほうからも腰を動かしてきた。
「もっとシてほしい?」
「もっと、もっとシて?」
細い腰を掴んで、小刻みに揺さぶってやる。
「あぁーっ! あっ、ん゛ぁっ! 何、何これ……!? おかしい、おかしい……!」
「すご、締まる……っ」
きゅうきゅうと締め付けてくる蜂須賀の内部を押し開くように激しい突きを繰り返していると、それは唐突にやってきた。
「は、ぁ゛、ぁ゛っ」
蜂須賀の中が俺のモノを搾り取るように締め付ける。
「イク! イク……ッ!」
「やばい、出るっ……!」
ほぼ同時に達する。
ふと蜂須賀のモノに目をやるが、吐精した痕跡は無い。
「え?」
「は、ぁ……ぁ……」
放心状態の蜂須賀の下腹部はピクピクと痙攣していて、そこをそっと撫でてやるとその刺激すら感じるのか、蜂須賀のモノがヒクヒクと動き先端からとろりと透明な蜜を垂らした。
「蜂須賀、出さないでイッたのか……?」
「…………?」
何が起きたのか解らないのだろう。蜂須賀自身も不思議そうな顔をしている。
「ドライでイッたんだな」
「ドラ、イ?」
「精液を出さないでイクことだよ。さっき、確かにイッたんだろう?」
「あ、あぁ……今までにないぐらい気持ちよかった――あれが、ドライというのか」
挿入していたモノを抜き、蜂須賀の全身にキスの雨を降らせる。軽く唇を這わせているだけなのに、蜂須賀が鼻に掛かった声を出す。
「気持ちいい?」
「あぁ」
まだピクピクと痙攣している下腹部にキスをしながら蜂須賀のものを扱きつつ、先ほどまで俺自身が入っていた後孔に指を入れる。
「は、ぁ、そんな……駄目だ」
「どうして? 中、すごくうねってる」
第一関節を曲げたところにある前立腺――からほんの少し奥にあるそこを刺激してやると、蜂須賀が俺の指をきゅうっと締め付けた。
「そこ、ばっかり、やめ……っ」
「男のポルチオらしいね、ここ。嫌?」
「気持ちよすぎる、から、っぁ」
指の腹で叩いたり、擦ったり、2本の指で摘まんだり揉んだりしていると、またも蜂須賀が気をやる。
「ふ、ぁ、あ゛、っぐ……」
「いいよ、声出して」
「おかしくなる、から、も……やめ、っ」
「なんで? 可愛い顔してるじゃん」
蜂須賀の足の指をしゃぶりながら奥を刺激してやると、蜂須賀は泣きながら達した。
そのオーガズムは随分長いこと続いた。何度も何度も腰を跳ねさせながら、精を吐き出さないまま絶頂を繰り返す。さすがにこれ以上やったら蜂須賀が壊れてしまいそうだと指を抜いても、オーガズムの波は引かないらしい。
「も、ぉ……きもちよすぎて、変になる……」
子どものように俺に抱き付いて泣きじゃくりながら身体を震わせる蜂須賀――そんな蜂須賀が愛おしい。
「良いよ、変になっても」
「こわ、い……」
「大丈夫だから。俺が居るだろ?」
「うん――うん――」
腕の中で快感に震える蜂須賀を抱きしめる。
その後、俺たちは休暇が終わるギリギリまでベッドの上で過ごした。
この休暇の間に蜂須賀はすっかりドライでイクことを覚えたらしく、その快感を求めて何度となく俺をせがんだ。
「お疲れさま」
蜂須賀がねぎらいの言葉を掛けてくれる。こういうところが蜂須賀の良い所だ。
一見すると高飛車で近寄りがたい印象を持つが、その実真逆。陰の努力家で、育ちの良さからくる鷹揚さと気品を兼ね備えている。根は優しく穏やかだが、少し頑固なところもある。だが、そんなところもまた可愛い。俺の自慢の初期刀であり、近侍であり、愛しい恋人だ。
「堅苦しい会議は何度経験しても慣れないな」
ネクタイを緩めながらソファに深く腰を掛けると、蜂須賀が「それも仕事だろう?」と困ったように笑った。
「蜂須賀」
ぽんぽんと膝を叩く。すると、蜂須賀は顔を赤らめて「恥ずかしい」と呟いた。
何度となく身体を重ねているが、いつまで経っても初心なところがどうしようもなく可愛い。頬にキスをしただけでも顔を真っ赤にして、着物の袖で顔を隠してしまうほどだ。
「いいから、早く」
なおも膝を叩いて催促すると、蜂須賀がおずおずと膝に腰を下ろした。
「よいしょ」
少し抱きなおして、しっかりと腰をホールドする。
「疲れた」
「うん、お疲れさま」
ぎゅっと蜂須賀を抱きしめると、優しく頭を撫でられる。
「あぁ、蜂須賀の匂いだ……」
「そんなに嗅がないでほしいな」
「癒される」
蜂須賀の匂いを堪能していると、蜂須賀が俺の額にキスをしてきた。自分からは滅多にキスなんてしてこないのに、と俺が驚いていると「会議、頑張ったから」と言い訳される。顔を真っ赤にして目を逸らすところがなんとも言えない。
「もっと」
首を傾げてキスを強請ると、蜂須賀が控えめに唇を合わせてきた。触れるだけのキスを繰り返す。何度も何度も唇を触れ合わせていると、徐々に蜂須賀の息が上がってきた。
「どうしたの?」
「な、なんでも、ない」
「んー?」
着物の裾をきゅっと掴んでいる蜂須賀の手に自分の手を絡める。
「あっ……」
親指で掌を擦ってやると蜂須賀の口から微かな声が漏れた。
「感じた?」
「感じて、ない」
「ホントに?」
「ん、ぅ……」
首筋を撫でてやればくすぐったそうに首を竦める。
「顔、赤いな」
「誰のせいだと……っ」
「俺のせいです」
笑いながら答えて蜂須賀の唇を塞ぐ。舌先で唇を擽ってやると、口を微かに開けておずおずと舌を覗かせる。その舌を掬うように口の中に迎え入れ、俺は蜂須賀の熱い口の中を存分に貪った。
甘い唾液を飲みこみ、歯列をなぞり、上顎のざらざらした部分を舌先で擦ってやる。その度に感じやすい蜂須賀は腰をびくびくさせて感じているようだった。
「――ぷ、ぁ……」
「いつまで経っても、キス、慣れないな。まだ恥ずかしい?」
「恥ずかしいに、決まってるだろ……」
蜂須賀が俺に抱き付いて、赤いのを隠すように首筋に顔を埋めてくる。
「ごめんごめん。意地悪しないから」
優しく背中をぽんぽんと叩いてやると、蜂須賀が俺の首筋に軽く歯を立ててきた。
「こら。我慢できなくなる」
「我慢、しなくていい」
「ひどくしちゃうかもしれないだろ」
「…………ひどくされても、いい」
俺は深く溜息を吐くと、蜂須賀を横抱きにしてベッドへと運んだ。
スプリングの利いたベッドに蜂須賀を降ろす。ベッドに蜂須賀の藤色の髪が広がる。
着物の袷から手を入れて、帯を解く。そのまま下へ行き、爪先にキスをしてから足袋に手を掛ける。
いつ見ても蜂須賀の体は美しかった。男にしてはキメが細かく色白の肌に、薄紅色の乳首や桃色の局部が可愛らしい。まだ皮を被ったままの蜂須賀自身は緩く兆していた。
「恥ずかしい――」
「可愛いよ」
俺も手早く服を脱ぎ、蜂須賀に覆いかぶさる。ベッドの上で互いを高めることはせず、しばらくじっと全裸で抱き合う。蜂須賀の冷たい体に俺の熱を移すようにしていると、徐々に蜂須賀の体の緊張が解れてきた。
蜂須賀の体は、人間である俺の体に比べて温度が低い。肌を重ねるとひんやりする。それというのも蜂須賀が刀剣男士で、人間ではないからだ。
「あったかい……」
夢うつつの調子で呟く蜂須賀の背中を優しく撫でる。蜂須賀はこうして俺に触られるのが好きだ。本人は刀だから仕方がないと言う。元が刀という道具である以上、人に触れられる・使われることが嬉しいし、それには抗えないらしい。
しばらく肌を合わせていると、蜂須賀のほうから俺に擦り寄ってくるようになる。まるで撫でるのを要求する猫のように擦り寄ってくるのだ。現に今も脚をもじもじさせながら俺の鎖骨の辺りに頭を擦り付けてきている。
「蜂須賀、シていい?」
耳元で囁くと、顔を赤くしながらも蜂須賀が肯く。
蜂須賀が肯いたのを確認してから、俺はその白い胸に浮かんでいる薄紅色の飾りに舌を這わせた。
「んぁっ、ん!」
少し舌先で舐めただけなのに蜂須賀の体が跳ね上がる。わざと音を立てて吸ってやれば、ひっきりなしに艶っぽい声を上げた。
「すごいな――もうこんなに硬くなってる」
「や、やめ、ひぅっ」
「なにが?」
「恥ずかしい……」
そのまま脇腹や腰にキスマークを付けながら、蜂須賀自身の先端にキスをした。すると蜂須賀のモノがピクリと震える。まだ皮を被ったままの先端を、剥くことなく口の中に含んで十分にねぶってやる。
「あぁっ、ぁ、ぁっ、や、やぁ……っ」
「どうして?」
「気持ちいぃから、んっ! 気持ちいぃ……」
半泣きになりながら蜂須賀が腰を浮かせる。
「自分で腰動かして、やらしいね」
蜂須賀の可愛いモノから口を離せば、つうと唾液が糸を引く。
「蜂須賀、見て? 蜂須賀の可愛いところ、俺がぺろぺろするところ」
快感による涙でぐしゃぐしゃになった蜂須賀に見せつけるように皮を剥く。露わになったピンクの先端にふぅっと息を吹きかけると、蜂須賀の尿道口がぱくぱくした。
「可愛い」
まずは咥えずに舌先だけで舐める。根元から敏感な先端、カリ、裏筋までまんべんなく。蜂須賀が腰を浮かせてもっともっとと強請ってくるが、決してそれには応えてやらない。
「あ、あ、気持ちいぃ、気持ち……いぃ」
「これは?」
先端だけを口に含んで、舌で舐めまわしながら吸ってやる。
「だめ! だめだ! それは、おかしくなる……!」
とぷとぷと溢れてくる先走りと一緒に喉の奥まで蜂須賀自身を呑みこむ。
「は、ぁ、あぁ!?」
何が起こっているのか解らないのだろう。腰を震わせながら喘ぐだけで精いっぱいのようだ。そんな蜂須賀に代わり、俺の方から頭を動かしてゆっくりねっとりしゃぶってやる。
「はぁー……はぁー……」
「我慢しなくていい。飲ませて、蜂須賀の」
先端に何度もキスをしていると、蜂須賀の先端からとぷりと白濁蜜が吐き出された。
他の刀剣男士はどうだかわからないが、蜂須賀の精は甘い。蜂蜜のようだ。俺はそれをじっくりと味わってから嚥下すると、蜂須賀の腰を抱え、後ろを解しにかかった。
蜂須賀の後孔は何度交合しても未通のようなキツさだった。指を一本入れただけでもきゅうきゅうと締め付けてくる。このキツい孔が俺のモノを咥え込んでいるのかと思うと、感慨深かった。
くぽくぽと指を抜き差ししていると、蜂須賀が俺の名前を呼んだ。
「どうした? 痛かった?」
「違う――俺もシたい……」
「え?」
「口で、シたい。
その、内緒で買った玩具で練習したんだ……でも初めてだから、気持ちよくなかったら、すまない」
身体を起こし、のそのそとシックスナインの体勢になる。そして、俺の股間に顔を近づけると、すっかりデカくなったそれに何度も唇を押し付けた。
「無理しなくていい」
「無理はしてない……ぁむ、ぅ」
先端だけを咥え込んで、んくんくと吸う。ぎこちない刺激だが、それもまた可愛い。決して上手いわけではないが、一生懸命に俺を気持ちよくしようとしているのがいじらしかった。
俺も蜂須賀の後ろに意識を集中する。ゆっくりと抜き差しするたびに、蜂須賀の口からくぐもった喘ぎ声が聞こえた。前立腺も思い切り擦ってやりたいが、今そんなことをしたら噛まれるかもしれない。いつも以上に慎重に、優しく蜂須賀の後ろを解す。
指を抜いた後、後孔がヒクヒクするまで存分に解すと、俺は蜂須賀の後孔に自分の先端を宛がい、ゆっくりと腰を進めた。
「は、っあ、あぁっ! あっ、入って、く、る」
「痛かったら言って?」
「だいじょう、ぶ」
全部を埋め込んだあと、しばらく息を整える。手を繋いで、キスをして、抱き合って、ゆっくりと蜂須賀の中が俺に慣れるのを待つ。
「もう、動いても……大丈夫」
「うん」
なるべくゆっくりとしたストロークで突いてやる、蜂須賀の良い所がよくわかる。先端がそのポイントを掠めた瞬間の反応がすごいのだ。
「すご、ぃ……おっきぃ……」
「気持ちいいの、ここ?」
前立腺と思しきところを捏ねてやれば、涙を流しながら嬌声を漏らす。
「もっと、もっと……」
ぎゅっと俺に抱き付きながら、控えめな声で強請る蜂須賀に胸がきゅっとなる。
「もっと、何?」
「もっと、欲しい」
言われた通りにぐっと強く腰を打ち付けた瞬間だった。
「あぁっ!!」
蜂須賀の口から聞いたことの無い声が聞こえた。
「え?」
もう一度腰を打ち付ける。
「やぁ! なに、なにこれ……? 奥から、クる!」
「気持ちいいの?」
「良い……良いよ……おかしくなる」
なるべく蜂須賀の呼吸に合わせるように腰を打ち付けてやる。すると、蜂須賀のほうからも腰を動かしてきた。
「もっとシてほしい?」
「もっと、もっとシて?」
細い腰を掴んで、小刻みに揺さぶってやる。
「あぁーっ! あっ、ん゛ぁっ! 何、何これ……!? おかしい、おかしい……!」
「すご、締まる……っ」
きゅうきゅうと締め付けてくる蜂須賀の内部を押し開くように激しい突きを繰り返していると、それは唐突にやってきた。
「は、ぁ゛、ぁ゛っ」
蜂須賀の中が俺のモノを搾り取るように締め付ける。
「イク! イク……ッ!」
「やばい、出るっ……!」
ほぼ同時に達する。
ふと蜂須賀のモノに目をやるが、吐精した痕跡は無い。
「え?」
「は、ぁ……ぁ……」
放心状態の蜂須賀の下腹部はピクピクと痙攣していて、そこをそっと撫でてやるとその刺激すら感じるのか、蜂須賀のモノがヒクヒクと動き先端からとろりと透明な蜜を垂らした。
「蜂須賀、出さないでイッたのか……?」
「…………?」
何が起きたのか解らないのだろう。蜂須賀自身も不思議そうな顔をしている。
「ドライでイッたんだな」
「ドラ、イ?」
「精液を出さないでイクことだよ。さっき、確かにイッたんだろう?」
「あ、あぁ……今までにないぐらい気持ちよかった――あれが、ドライというのか」
挿入していたモノを抜き、蜂須賀の全身にキスの雨を降らせる。軽く唇を這わせているだけなのに、蜂須賀が鼻に掛かった声を出す。
「気持ちいい?」
「あぁ」
まだピクピクと痙攣している下腹部にキスをしながら蜂須賀のものを扱きつつ、先ほどまで俺自身が入っていた後孔に指を入れる。
「は、ぁ、そんな……駄目だ」
「どうして? 中、すごくうねってる」
第一関節を曲げたところにある前立腺――からほんの少し奥にあるそこを刺激してやると、蜂須賀が俺の指をきゅうっと締め付けた。
「そこ、ばっかり、やめ……っ」
「男のポルチオらしいね、ここ。嫌?」
「気持ちよすぎる、から、っぁ」
指の腹で叩いたり、擦ったり、2本の指で摘まんだり揉んだりしていると、またも蜂須賀が気をやる。
「ふ、ぁ、あ゛、っぐ……」
「いいよ、声出して」
「おかしくなる、から、も……やめ、っ」
「なんで? 可愛い顔してるじゃん」
蜂須賀の足の指をしゃぶりながら奥を刺激してやると、蜂須賀は泣きながら達した。
そのオーガズムは随分長いこと続いた。何度も何度も腰を跳ねさせながら、精を吐き出さないまま絶頂を繰り返す。さすがにこれ以上やったら蜂須賀が壊れてしまいそうだと指を抜いても、オーガズムの波は引かないらしい。
「も、ぉ……きもちよすぎて、変になる……」
子どものように俺に抱き付いて泣きじゃくりながら身体を震わせる蜂須賀――そんな蜂須賀が愛おしい。
「良いよ、変になっても」
「こわ、い……」
「大丈夫だから。俺が居るだろ?」
「うん――うん――」
腕の中で快感に震える蜂須賀を抱きしめる。
その後、俺たちは休暇が終わるギリギリまでベッドの上で過ごした。
この休暇の間に蜂須賀はすっかりドライでイクことを覚えたらしく、その快感を求めて何度となく俺をせがんだ。