誕生日当日に御籤を引いた方が良い結果が出るというハルトの謎の考えによって
三が日以内に神社にお参りに行く予定が1日延びてしまいリックは溜め息を吐きながらも従ってしまっていた。
「三が日以降なら多少人混みは減るだろう。ありがたいと思え」
「それは確かにありがたい、が」
「それにトーキョーの初詣というのは人が犇めき合って耐えられん」
「確かに…ハルトの考えはわけがわからなくても筋は通っていたのか」
「どっかの誰かがまだ人見知りを克服出来てないからな。さーて誰の事だったか……」
「う…その馬鹿にしているような視線はやめろ」
1月4日。ハルトの誕生日。
朝の光が眩しくトーキョーのビル群を照らし、降るのは久しぶりだと騒がれていた雪も光を浴びキラキラと輝いている。
リックが起きて早々押し倒され自分の誕生日を主張しながら「今日1日は俺の言う事をなんでも聞け」
と息を荒くするハルトの頭に軽く手刀打ちを与え夜にちゃんと祝う約束をして2人で神社へと駆け出した。
トーキョーのとある神社。トーキョーで初詣をするならばココ!というくらい有名な神社らしい。
三が日が過ぎたとはいえ年が明けてまだ4日目。神社は混雑状態にあった。
「ふむ。お参り可能となるまで約1時間とみた」
「1時間程度ならあっという間だ。気長に待つぞ」
「人混みの中だというのに妙に落ち着いてるな」
「忍耐が必要な場なんだ…あまり乱さないでくれ…」
「おい、ならば時間潰しの俺の相手はどうなる!って、聞いてないだと…」
ハルトは周りの人間を観察し勝手に人物像を想像、リックは誰かに声をかけられない事を祈りつつ
1時間後無事にお参りを済ませた。
何を願ったのかはお互い内緒に。でもなんとなく察してしまう2人であった。
「さて、メインの御籤の用意はできているんだろうな?」
「俺は別にメインでもなんでもないんだが…」
お目当ての御籤を引き終えたハルト。
リックは引く予定が無かったのだがハルトがわくわくしながら引いているのを見てやりたくなってしまったのだ。
「では、開けるぞ」
「ああ」
冬の冷たい風に髪をなびかせ、その風に乗るように大げさに紙を開いた。
「中吉。ハルトは?…ハルト?」
「フフハハハ、大吉だ。やはり俺は選ばれし子なのだ」
引いて当然だと言わんばかりの自信に満ち溢れた表情を浮かべるハルトにリックは呆れながらも
「すごいな、大吉か!やったな」
「ふ、当然の結果だ。さて、内容を見るとするか」
早速御籤の内容を確認し合った。
しかし……
「リックよ。貴様の運勢はどれも普通過ぎだ。つまらん」
「そりゃ、中吉だからな。…おいハルト、自分の運勢を見て何とも思わないのか…?」
リックの引いた中吉に書かれていたのは良くもなく悪くもない、指摘する所がまったくないと言った普通の内容。
対するハルトの引いた大吉はというと
願望はすぐに叶わない
仕事は災難と困難が多くなる
旅行は帰る時に支障が出る
学問は最下位の可能性
金運はチャージを忘れずに。恐らく移動時に使う交通のICカードの事だろう。
そして最後の眼鏡は清潔に、と。
「最後の眼鏡の項目はさておき、内容が凶、いや大凶みたいなものじゃないか…」
「…」
「ハルト、その、御籤だからな?必ずそうなるわけではないぞ。だから…」
「面白いではないか!」
急に耳の近くで大声を出されリックはビクッと身体を震わせた。
「俺はこれからたくさんの不運に見舞われる。不幸が続けば大きな幸運が訪れる。逆接の果ての1年で最良の運勢が待つ。ハハハハ、俺は不運にまでも選ばれてしまったのか」
「…大丈夫か?もっとわかりやすく言ってくれ」
「つまり不運が無くてはつまらないという事だ。毎日幸運だなんて俺は御免だからな」
「そういうことなのか。成る程…」
「それにちゃんと運勢すべてを見たのか?ここだ、よく見てみろ。成績優秀のはずの貴様が見逃している項目があるぞ」
「ここか…」
寒さで少し赤くなっているハルトの指が示した先には
恋愛:想いは深まり、全ては幸せな将来がある
読み終わり、見上げるとそこにはハルトの勝ち誇った顔。
「どうだ、正真正銘の大吉だろう?」
その顔が快晴の空を背景に輝いているように見えリックは慌てて背中を向け歩き出した。
「そう、だな。帰るぞ。今日は誕生日、だろ」
「待て。結び付けはしなくていいのか?」
その答えを2人は知っている。リックは振り向きハルトと同じように勝ち誇った顔になり
「縁はもう結ばれているからな」
早速1つ目のプレゼントを頂いたと神社に向かって一礼をしハルトは鳥居に向かって走るリックを追いかけた。
おまけ
「せっかくだ。絵馬を書くとしよう」
「そうするか」
「名前を書くのを忘れるな。俺は先に書くか…綾小路・ヴィ・春斗…」
「…その名前どうにかならないのか?」
「既に教授方や学校に受理されてしまったからな。それに良い名前ではないか」
「そう、だな…「はると」だけならトーキョーでも人気がある名前らしいぞ」
「春斗以外を無視するな」
三が日以内に神社にお参りに行く予定が1日延びてしまいリックは溜め息を吐きながらも従ってしまっていた。
「三が日以降なら多少人混みは減るだろう。ありがたいと思え」
「それは確かにありがたい、が」
「それにトーキョーの初詣というのは人が犇めき合って耐えられん」
「確かに…ハルトの考えはわけがわからなくても筋は通っていたのか」
「どっかの誰かがまだ人見知りを克服出来てないからな。さーて誰の事だったか……」
「う…その馬鹿にしているような視線はやめろ」
1月4日。ハルトの誕生日。
朝の光が眩しくトーキョーのビル群を照らし、降るのは久しぶりだと騒がれていた雪も光を浴びキラキラと輝いている。
リックが起きて早々押し倒され自分の誕生日を主張しながら「今日1日は俺の言う事をなんでも聞け」
と息を荒くするハルトの頭に軽く手刀打ちを与え夜にちゃんと祝う約束をして2人で神社へと駆け出した。
トーキョーのとある神社。トーキョーで初詣をするならばココ!というくらい有名な神社らしい。
三が日が過ぎたとはいえ年が明けてまだ4日目。神社は混雑状態にあった。
「ふむ。お参り可能となるまで約1時間とみた」
「1時間程度ならあっという間だ。気長に待つぞ」
「人混みの中だというのに妙に落ち着いてるな」
「忍耐が必要な場なんだ…あまり乱さないでくれ…」
「おい、ならば時間潰しの俺の相手はどうなる!って、聞いてないだと…」
ハルトは周りの人間を観察し勝手に人物像を想像、リックは誰かに声をかけられない事を祈りつつ
1時間後無事にお参りを済ませた。
何を願ったのかはお互い内緒に。でもなんとなく察してしまう2人であった。
「さて、メインの御籤の用意はできているんだろうな?」
「俺は別にメインでもなんでもないんだが…」
お目当ての御籤を引き終えたハルト。
リックは引く予定が無かったのだがハルトがわくわくしながら引いているのを見てやりたくなってしまったのだ。
「では、開けるぞ」
「ああ」
冬の冷たい風に髪をなびかせ、その風に乗るように大げさに紙を開いた。
「中吉。ハルトは?…ハルト?」
「フフハハハ、大吉だ。やはり俺は選ばれし子なのだ」
引いて当然だと言わんばかりの自信に満ち溢れた表情を浮かべるハルトにリックは呆れながらも
「すごいな、大吉か!やったな」
「ふ、当然の結果だ。さて、内容を見るとするか」
早速御籤の内容を確認し合った。
しかし……
「リックよ。貴様の運勢はどれも普通過ぎだ。つまらん」
「そりゃ、中吉だからな。…おいハルト、自分の運勢を見て何とも思わないのか…?」
リックの引いた中吉に書かれていたのは良くもなく悪くもない、指摘する所がまったくないと言った普通の内容。
対するハルトの引いた大吉はというと
願望はすぐに叶わない
仕事は災難と困難が多くなる
旅行は帰る時に支障が出る
学問は最下位の可能性
金運はチャージを忘れずに。恐らく移動時に使う交通のICカードの事だろう。
そして最後の眼鏡は清潔に、と。
「最後の眼鏡の項目はさておき、内容が凶、いや大凶みたいなものじゃないか…」
「…」
「ハルト、その、御籤だからな?必ずそうなるわけではないぞ。だから…」
「面白いではないか!」
急に耳の近くで大声を出されリックはビクッと身体を震わせた。
「俺はこれからたくさんの不運に見舞われる。不幸が続けば大きな幸運が訪れる。逆接の果ての1年で最良の運勢が待つ。ハハハハ、俺は不運にまでも選ばれてしまったのか」
「…大丈夫か?もっとわかりやすく言ってくれ」
「つまり不運が無くてはつまらないという事だ。毎日幸運だなんて俺は御免だからな」
「そういうことなのか。成る程…」
「それにちゃんと運勢すべてを見たのか?ここだ、よく見てみろ。成績優秀のはずの貴様が見逃している項目があるぞ」
「ここか…」
寒さで少し赤くなっているハルトの指が示した先には
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読み終わり、見上げるとそこにはハルトの勝ち誇った顔。
「どうだ、正真正銘の大吉だろう?」
その顔が快晴の空を背景に輝いているように見えリックは慌てて背中を向け歩き出した。
「そう、だな。帰るぞ。今日は誕生日、だろ」
「待て。結び付けはしなくていいのか?」
その答えを2人は知っている。リックは振り向きハルトと同じように勝ち誇った顔になり
「縁はもう結ばれているからな」
早速1つ目のプレゼントを頂いたと神社に向かって一礼をしハルトは鳥居に向かって走るリックを追いかけた。
おまけ
「せっかくだ。絵馬を書くとしよう」
「そうするか」
「名前を書くのを忘れるな。俺は先に書くか…綾小路・ヴィ・春斗…」
「…その名前どうにかならないのか?」
「既に教授方や学校に受理されてしまったからな。それに良い名前ではないか」
「そう、だな…「はると」だけならトーキョーでも人気がある名前らしいぞ」
「春斗以外を無視するな」