垂れてくる髪をかき上げる仕草が酷く色っぽいと感じた。
にっかり青江は、視える側である。この世に存在してはならない幽霊や妖怪の類が見えるという。もともと、にっかり青江という刀は、にっかりと嗤った女幽霊を切ったことが名の由来だ。それを思えば、人の身になったら視えぬというほうが不思議だった。
だが、視えるというのは、憑かれやすいということでもある。
今日もまたにっかり青江は幽霊に憑かれていた。
「こんなに大きくして……いやらしい」
赤い舌で唇を舐める。
白い指先で吉行の股間をやわやわ揉みしだきながら、にっかりが体を預けてきた。
「おまん、また憑かれちゅうな……石切さんにお祓いしてもらわんとな」
なるべく体を離そうとするが、にっかりは蛇のように絡みついて離れてくれない。
吉行はため息を一つ吐くと、「今度は何に憑かれちゅうんじゃ――」と天を仰いだ。
「僕は何にも憑かれてなどいないよ」
「嘘つけ。おまんがこがに品ば作りゆうときは、憑かれちょるち決まっちゅう。
気ぃ済んだら、またお祓いしてもらいに行くぜよ」
「ふふ、気が済んだら、ね」
にっかりは布団に吉行を押し倒すと、吉行の着物を肌蹴、下着の上からモノを刺激し始めた。
「だいぶ溜まっているんだろう?」
「うっ……」
「もうこんなに膨らんで――まんざらでもないくせに、口では嫌だ嫌だと言う。正直じゃないね」
きゅっと先端を摘ままれて思わず息を詰めると、にっかりが妖しく笑む。
「言うちょるおまんも、昂ってきちゅうんじゃろ?」
「今日は随分余裕じゃないか。一滴も出ないほど搾り取らせてもらおうかな」
下着を退けて、すっかり立ち上がった吉行のそれを目の前にし、にっかりは「ほう」と熱っぽい息を吐いた。
舌なめずりをして先端に唾液を垂らすと、それを潤滑油にしてくちくちと扱きはじめる。
「ふ、ぅ。今日はいつも以上に上手いのう」
「早く達しすぎて、僕をがっかりさせないでくれよ?」
緩急を付けながら扱かれ、先端を撫でまわされしているうちに、ぷくりと透明な蜜が浮かぶ。それを見たにっかりは、躊躇いなく吉行の先端を口に含んだ。
「ん、む……相変わらず、大きい、ね」
根元から裏筋を舐め揚げ、先端の穴をしつこく舌で舐られる。
いやらしい水音を立てながらモノを舐めしゃぶるにっかりは、壮絶に淫靡だった。
明かりは障子から差し込む月明かりだけ。ほの白い光がにっかりの横顔を照らす。
「ちゅぷちゅ、む……じゅる、ずろろ――」
「は、っあ! そがにしたら、すぐに……!」
「まだ、ダメ……だよ?」
根元をぎゅうっと握られたまま、今度は玉を舐められる。
双玉を交互に口に含んで口の中で転がされると、どうしようもなく精を吐き出したい衝動に駆られる。
玉に飽きると、今度は会陰を刺激された。
「今日は、もぉ、しつこい、のぅ」
「君の堪え性が無いだけだよ」
先端に口付け、吉行の内股を吸って赤い印をつけると、にっかりは片手で器用に自らの前を寛げた。
「見て? 僕のここも、こんなになって――」
にっかりのそこはしとどに濡れている。
思わずそれに目を奪われて吉行がしばし凝視していると、にっかりは「大きくなったね」と笑った。
「君の熱いこれを、僕の中に挿入れて、一滴残らず搾ってあげたい……」
「そ、それは――」
「僕はもう準備は出来ているんだよ?」
ぐい、とにっかりが顔を寄せる。
「吉行……」
柔らかい唇が吉行のかさついた唇に触れた。
にっかりの舌が唇を割って入ってくる。
「イキたいかい?」
「お、おぅ――」
「でも駄目」
口腔を蹂躙され、息が上がる。酸欠で意識が朦朧としてきたところで、にっかりが口を離した。
「よく見てて?」
鎖骨に口付けたにっかりが股間に顔をうずめ、先端を咥えた。
「う、うぅ」
上目遣いで不敵に微笑むと、そのまま喉奥まで吉行を迎え入れる。
ぐぽぐぽと吉行を出し入れしながら、にっかりも感じているようだった。
「で、出る! 口、口離せ!」
「んー」
にっかりがなお一層深く銜え込み、喉で締め付ける。その締め付けに耐え切れず、吉行は精を放った。
「んぐ、っん……ん、ぐ……ぇほっ、げほげほっ」
「大丈夫か!? すまん、出してしもうた」
「大丈夫だよ。吉行の、美味しかった」
口を開けて精を飲み干したことを示すと、にっかりは口の端に付いた白蜜を指で拭った。
「濃かったし、量も多かったね。それじゃぁ、今度は僕の中に注いでもらおうかな?」
吉行の上に、にっかりが伸し掛かる。
「もう丁子油で解してきたんだ。すぐにでも挿入れられるよ……」
後穴に吉行を宛てがって、自ら腰を前後に揺すりながら「ほら、簡単に挿入っちゃう」と少しずつ吉行自身を自らの内に呑みこんだ。
「は、ぁ……おっきぃね――しかも、熱くて、びくびくしてる」
「な、なんじゃこりゃ……うねって、締め付けてきゆう……」
「ふふ、気持ち良いかい? 僕もね、最高に……んぁっ、気持ち、良いよ」
まるで馬にでも乗るかのように腰を使いながら、絶頂に向かって気持ちを高ぶらせていく。
「ほらほら、へばっていないで。僕を愉しませておくれよ」
きゅっと吉行の乳首を抓ると、吉行自身がにっかりの中で跳ねた。
「乳首を責められるのが好きなのかい? とんだ被虐趣味だね」
「そがなこと、なが――ぁっ」
「はぁっ、ん! そこ! そこが、イイんだ! もっとぐりぐりして……!」
「ここか?」
吉行が上半身を起こして下から突き上げると、にっかりは髪を振り乱して感じた。
「イイ! そこ! あっ、あぁっ! すごい……奥まで来る!」
自ら胸の飾りを弄いつつ、我を忘れて乱れるにっかりの肌に玉の汗が浮かぶ。
吉行は喉仏に浮かんだ汗を吸うと、その白い首筋に噛み付いた。
「あ゛っあぁっ、ん、ぐっ!」
痛みに顔をしかめるにっかり。後穴で吉行をきつく締め上げると、そのままにっかりは気をやった。
「あぅ、ん、あ! イク、イクイク!」
にっかりの体が痙攣する。
にっかり自身も大量の精を放つと、そのまま気を失った。
後始末をするのはいつも吉行である。
綺麗な手ぬぐいで体を拭いてやり、寝間着を着せて布団に寝かせる。
すうすうと寝息を立てるにっかりの髪を梳いて額に口付けると、吉行はにっかりの枕元に石切丸祈祷済みの塩を持った。
「まったく、おまんはどういてこがに余計なもんば連れて来よるかのう」
「ん、ぅ――」
「目ぇ覚ましたら、お祓い、行こうな」
そっと隣に寝そべると、にっかりが体を寄せてくる。
(きっと朝起きたら、今晩のことは覚えちょらんのじゃろうのう……)
吉行は寂しげに笑うと、にっかりの体を抱き寄せた。
(完)
にっかり青江は、視える側である。この世に存在してはならない幽霊や妖怪の類が見えるという。もともと、にっかり青江という刀は、にっかりと嗤った女幽霊を切ったことが名の由来だ。それを思えば、人の身になったら視えぬというほうが不思議だった。
だが、視えるというのは、憑かれやすいということでもある。
今日もまたにっかり青江は幽霊に憑かれていた。
「こんなに大きくして……いやらしい」
赤い舌で唇を舐める。
白い指先で吉行の股間をやわやわ揉みしだきながら、にっかりが体を預けてきた。
「おまん、また憑かれちゅうな……石切さんにお祓いしてもらわんとな」
なるべく体を離そうとするが、にっかりは蛇のように絡みついて離れてくれない。
吉行はため息を一つ吐くと、「今度は何に憑かれちゅうんじゃ――」と天を仰いだ。
「僕は何にも憑かれてなどいないよ」
「嘘つけ。おまんがこがに品ば作りゆうときは、憑かれちょるち決まっちゅう。
気ぃ済んだら、またお祓いしてもらいに行くぜよ」
「ふふ、気が済んだら、ね」
にっかりは布団に吉行を押し倒すと、吉行の着物を肌蹴、下着の上からモノを刺激し始めた。
「だいぶ溜まっているんだろう?」
「うっ……」
「もうこんなに膨らんで――まんざらでもないくせに、口では嫌だ嫌だと言う。正直じゃないね」
きゅっと先端を摘ままれて思わず息を詰めると、にっかりが妖しく笑む。
「言うちょるおまんも、昂ってきちゅうんじゃろ?」
「今日は随分余裕じゃないか。一滴も出ないほど搾り取らせてもらおうかな」
下着を退けて、すっかり立ち上がった吉行のそれを目の前にし、にっかりは「ほう」と熱っぽい息を吐いた。
舌なめずりをして先端に唾液を垂らすと、それを潤滑油にしてくちくちと扱きはじめる。
「ふ、ぅ。今日はいつも以上に上手いのう」
「早く達しすぎて、僕をがっかりさせないでくれよ?」
緩急を付けながら扱かれ、先端を撫でまわされしているうちに、ぷくりと透明な蜜が浮かぶ。それを見たにっかりは、躊躇いなく吉行の先端を口に含んだ。
「ん、む……相変わらず、大きい、ね」
根元から裏筋を舐め揚げ、先端の穴をしつこく舌で舐られる。
いやらしい水音を立てながらモノを舐めしゃぶるにっかりは、壮絶に淫靡だった。
明かりは障子から差し込む月明かりだけ。ほの白い光がにっかりの横顔を照らす。
「ちゅぷちゅ、む……じゅる、ずろろ――」
「は、っあ! そがにしたら、すぐに……!」
「まだ、ダメ……だよ?」
根元をぎゅうっと握られたまま、今度は玉を舐められる。
双玉を交互に口に含んで口の中で転がされると、どうしようもなく精を吐き出したい衝動に駆られる。
玉に飽きると、今度は会陰を刺激された。
「今日は、もぉ、しつこい、のぅ」
「君の堪え性が無いだけだよ」
先端に口付け、吉行の内股を吸って赤い印をつけると、にっかりは片手で器用に自らの前を寛げた。
「見て? 僕のここも、こんなになって――」
にっかりのそこはしとどに濡れている。
思わずそれに目を奪われて吉行がしばし凝視していると、にっかりは「大きくなったね」と笑った。
「君の熱いこれを、僕の中に挿入れて、一滴残らず搾ってあげたい……」
「そ、それは――」
「僕はもう準備は出来ているんだよ?」
ぐい、とにっかりが顔を寄せる。
「吉行……」
柔らかい唇が吉行のかさついた唇に触れた。
にっかりの舌が唇を割って入ってくる。
「イキたいかい?」
「お、おぅ――」
「でも駄目」
口腔を蹂躙され、息が上がる。酸欠で意識が朦朧としてきたところで、にっかりが口を離した。
「よく見てて?」
鎖骨に口付けたにっかりが股間に顔をうずめ、先端を咥えた。
「う、うぅ」
上目遣いで不敵に微笑むと、そのまま喉奥まで吉行を迎え入れる。
ぐぽぐぽと吉行を出し入れしながら、にっかりも感じているようだった。
「で、出る! 口、口離せ!」
「んー」
にっかりがなお一層深く銜え込み、喉で締め付ける。その締め付けに耐え切れず、吉行は精を放った。
「んぐ、っん……ん、ぐ……ぇほっ、げほげほっ」
「大丈夫か!? すまん、出してしもうた」
「大丈夫だよ。吉行の、美味しかった」
口を開けて精を飲み干したことを示すと、にっかりは口の端に付いた白蜜を指で拭った。
「濃かったし、量も多かったね。それじゃぁ、今度は僕の中に注いでもらおうかな?」
吉行の上に、にっかりが伸し掛かる。
「もう丁子油で解してきたんだ。すぐにでも挿入れられるよ……」
後穴に吉行を宛てがって、自ら腰を前後に揺すりながら「ほら、簡単に挿入っちゃう」と少しずつ吉行自身を自らの内に呑みこんだ。
「は、ぁ……おっきぃね――しかも、熱くて、びくびくしてる」
「な、なんじゃこりゃ……うねって、締め付けてきゆう……」
「ふふ、気持ち良いかい? 僕もね、最高に……んぁっ、気持ち、良いよ」
まるで馬にでも乗るかのように腰を使いながら、絶頂に向かって気持ちを高ぶらせていく。
「ほらほら、へばっていないで。僕を愉しませておくれよ」
きゅっと吉行の乳首を抓ると、吉行自身がにっかりの中で跳ねた。
「乳首を責められるのが好きなのかい? とんだ被虐趣味だね」
「そがなこと、なが――ぁっ」
「はぁっ、ん! そこ! そこが、イイんだ! もっとぐりぐりして……!」
「ここか?」
吉行が上半身を起こして下から突き上げると、にっかりは髪を振り乱して感じた。
「イイ! そこ! あっ、あぁっ! すごい……奥まで来る!」
自ら胸の飾りを弄いつつ、我を忘れて乱れるにっかりの肌に玉の汗が浮かぶ。
吉行は喉仏に浮かんだ汗を吸うと、その白い首筋に噛み付いた。
「あ゛っあぁっ、ん、ぐっ!」
痛みに顔をしかめるにっかり。後穴で吉行をきつく締め上げると、そのままにっかりは気をやった。
「あぅ、ん、あ! イク、イクイク!」
にっかりの体が痙攣する。
にっかり自身も大量の精を放つと、そのまま気を失った。
後始末をするのはいつも吉行である。
綺麗な手ぬぐいで体を拭いてやり、寝間着を着せて布団に寝かせる。
すうすうと寝息を立てるにっかりの髪を梳いて額に口付けると、吉行はにっかりの枕元に石切丸祈祷済みの塩を持った。
「まったく、おまんはどういてこがに余計なもんば連れて来よるかのう」
「ん、ぅ――」
「目ぇ覚ましたら、お祓い、行こうな」
そっと隣に寝そべると、にっかりが体を寄せてくる。
(きっと朝起きたら、今晩のことは覚えちょらんのじゃろうのう……)
吉行は寂しげに笑うと、にっかりの体を抱き寄せた。
(完)
うえ@にっかり推し
2016-02-07 19:05:50